大切なのは間違いなく「確信の持てる投資家」であることでしょう。自分の知らないことや理解できないことに安易に手を出し、大金を注ぎ込むと、悪い結果になりがちです。
デイヴィッドM.ルーベンシュタイン. 世界の天才に「お金の増やし方」を聞いてきた (pp.140-141). 文響社. Kindle 版. (Amazon)
世界的な投資会社ブラックストーン社の社長兼COOジョン・グレイはこのように述べています。
この言葉にもあるように、自分が投資する対象を詳しく知ることで、投資の成功確率を高めることができると思います。この記事では、毎月クレジットカード積み立てで投資している『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(以下、オルカン)の概要を紹介します。
※最新の情報は三菱UFJ社のウェブサイトを確認ください。
オルカンとは?
- 運用会社: 三菱UFJアセットマネジメント(委託)
- 投資先:
- MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマーク
- 為替ヘッジなし
- 主に外国株式インデックスマザーファンド、新興国株式インデックスマザーファンド、日本株式インデックスマザーファンドへの投資を通じて、日本を含む先進国および新興国の株式等に投資を行う
- 設定日: 2018年10月31日
- 償還日: 無期限
- 信託報酬: 年率0.05775%(税抜 年率0.0525%)以内
実質コストは?
2023年4月26日~24年4月25日の運用報告書にもとづくと、同期間のオルカンの実質コストは0.131%でした。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドの実質コストが0.153%(2023年7月19日~24年7月16日)なので、オルカンのほうが低コストです。
オルカンは、2023年9月8日から信託報酬を年0.11330%(税込み)以内から年0.05775%(同)以内に引き下げたので、引き続き最安だと思われます。今後も、オルカンの実質コストをWatchしていきます。
また、他により低コストな全世界株式の投資信託が出てくることを楽しみにしています。
オルカンのコスト:
(参考)『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』のコスト:
運用実績は?
直近1年間の騰落率は+29.1%です。インデックス投資とは思えないほど上昇しています。
オルカンの運用実績(2024年11月マンスリーレポート)(URL)
米国株が上昇したことが主な要因だったようです。
組入れ銘柄は?
2024年11月マンスリーレポートでは、国別には、米国株が65.9%(同4月:62%)でトップです。セクター別には、情報技術がトップで24.6%(同4月:23%)です。(URL)
なぜオルカンに投資するのか?
全世界株式の価格は、長期的には成長を続けると考えています。
一方で、個別の銘柄や国を予想することは難しいです。短期的には、米国株は強いと思いますが、ここから20年先、30年先にどうなりそうなのか、私にはわかりません。
そのうえで、コストがトップクラスに低いため、オルカンに投資しています。
また、私にとっては、以下の点も魅力です。
- 米国株が多いとはいえ、他の国、地域も含む
- 通貨も分散
- 自動的に銘柄を入れ替え(手間をかけずに新陳代謝を実現)
- マイクロストラテジーを通して間接的に仮想通貨も保有
- 不動産投資信託(REIT)も含む
本書では、おすすめ商品を分かりやすく一本化しようと考えました。いわば、インデックス投資の投資銘柄の「ファイナルアンサー」です。
このファイナルアンサーは、様々な観点から厳しい評価を行い、現在(執筆している2022年1月時点)のみならず、おそらく今後も一生付き合える商品ではないかと考えます。(中略)
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用されるインデックス・ファンドです。かんたんに言えば、日本、先進国、新興国を含む全世界の株式市場にこれ一本で丸ごと投資できる商品です。「夜空に広がる満天の星空をすべて買う」と例えた方がいらっしゃいますが、ロマンチックすぎるかどうかは別として、まさに言い得て妙。そのとおりの商品なのです。
山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (pp.68-69). 朝日新聞出版. Kindle 版.(Amazon)
何がリスクか?
組入れ銘柄の62%は米国株式なので、米国の金利が上がるとオルカンの評価額も下がると思います。
為替ヘッジはかかっていないので、円高が進むと、円建てのリターンが低くなります。
投資先が分散されているとはいえ、歴史的には、単年では16~22%ほどの下落も想定されます。
リスク資産運用の期待リターン(確率で加重して求めた平均の収益率)を5%、資産価値変動のリスクを1標準偏差単位で19%と想定して求めたものです。下限の方は、5%から19%の2倍を引いてマイナス33%、上限の方は、5%に19%の2倍を足して43%となることから、大まかにプラス4割と考えることにしました。
期待リターンの5%も、リスクを表す標準偏差の19%も、年金基金や信託銀行など、いわゆる機関投資家が使っている運用計画の前提数値から求めたものです。
株式での運用の期待リターンは、世界的にリスク無しの金利プラス5~6%が多く、広範囲な株式のインデックス運用のリスクは、計算期間によって異なりますが、16~22%くらいの範囲に収まることが多い。
運用計画を考える上で、リターンもリスクも必要なのは将来の予測値ですが、これを厳密に求めることができる上手い方法は残念ながら存在しません。過去のデータを詳しく分析しても、将来の経済をシミュレーションするモデルを動かしても、上手く行かないのが現実です。
山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (pp.44-45). 朝日新聞出版. Kindle 版. (Amazon)
なぜVTではないのか?
バンガード・トータル・ワールドストックETF(VT)は非常に優秀なETFだと思います。私は、VTも保有しています。ただ、新規購入は、自動的に積立投資できる投資信託オルカンを優先しています。
オルカンと比べたVTのメリット:
- 経費率がオルカンよりも安い。0.07%。
オルカンと比べたVTのデメリット:
- 購入を自動化できない。定期購入の設定はできますが、買付のための米ドルを自動的に入金することができません。
- 売却時に手数料がかかる。VTの購入手数料は無料の証券会社が多いですが、売却時には手数料がかかります。大手証券会社では、おおよそ約定代金の0.45%(税込:0.495%)、最大20米ドル(税込:22米ドル)です。
- 分配金(配当)が出て、分配金に対して課税されること。課税の分、再投資の金額が少なくなるため、分配金再投資の効率が悪くなります。
なぜTracersグローバル2倍株(地球コンプリート)にも投資するのか?
私は、Tracersグローバル2倍株(地球コンプリート)にも積立投資しています。オルカンは低コストで全世界株式に分散できるので非常に優秀な投資信託ですが、Tracersグローバル2倍株にも投資する理由は、早く経済的自由(Financial Independent=FI)を得たいからです。
オルカンと比べた、Tracersグローバル2倍株のメリット:
- 約2倍のレバレッジがかかっていること。全世界株式に対して2倍のエクスポージャーをとることができる。ただし、Tracersグローバル2倍株の投資先はオルカンとは違うので、オルカンの2倍ではないです。
オルカンと比べた、Tracersグローバル2倍株のデメリット:
- コストが高い。オルカンの実質コストが0.131%なのに対して、Tracersグローバル2倍株の実質コストが0.438%です。オルカンの3倍強のコストがかかります。
参考・引用: