Copilot ChatGPT5の性能に衝撃を受け、「今でもすさまじい性能のAIがこれからどんどん進化していくなかで、どうやってキャリアを築くか」を考え本書『生成AIと脳~この二つのコラボで人生が変わる~』(Amazon)を手に取りました。
本書は何がポイントか
- 生成AIのハルシネーションを抑える工夫
- プロンプトのなかで「回答の根拠となるものを原文のまま抜粋してください」と記す。
- プロンプトの最後に「ハルシネーションをしないでください」と明記する。
- 生成後に「上記の回答が正しいかをチェックしてください」と、検証タスクを別立てで依頼する。
- これらは単純ですが、精度と再現性に直結します。実際に、仕事の中でこれらをプロンプトに入れることで、誤回答を減らせました。
- 生物学分野でのAIの進歩
- Alpha Missense(2023-): 人のゲノムのウィークポイント(ミスセンス変異の病原性)を推定する取り組み。
- 補足(本書外): ”AlphaMissense は、GoogleDeepMind 社が 2023 年 9 月に発表した、単一アミノ酸置換の病原性予測ツールです。DeepMind 社は、Science 誌に掲載された AlphaMissense の論文「Accurate proteome-wide missense variant effect prediction with AlphaMissense」において、公共データベース UniProt、GENCODE、ClinVar 等のデータを用い、ヒト体内に存在するタンパク質の単一アミノ酸置換のうち、理論上考えられる全てに対応するミスセンスバリアント約 7,100 万件の病原性を予測しました。その結果、全体のうち 32% (約 2,300 万) は病原性がある可能性が高く、57% (約 4,000 万件) は病原性のない可能性が高いと予測され、またその予測精度が既存の予測ツール (PolyPhen、SIFT など) を上回ったと報告しています。”(引用元)
- AlphaFold3(2024-): タンパク質同士やDNA・RNA・リガンドとの相互作用まで精度よく予測。
- 補足(本書外)
- 【AF3の特徴】AlphaFold-Multimer v2.3(AF2.3)と異なる特徴(引用元)
- ❶対象となる生体分子の拡大:タンパク質だけでなく、核酸(DNA、RNA)、低分子、イオン、修飾残基などの複合体の構造予測が可能になった。
- ❷従来法を上回る予測の精度と速さ:AFの予測精度は、平均して1原子の幅以内。AF3は、従来の専用ツール(最新のドッキングツールによる「タンパク質-リガンド間相互作用」予測、核酸特異的な「タンパク質-核酸間相互作用」予測)に比べて精度が大幅に向上。また、AF2.3による「抗原-抗体」予測よりも精度が高かった。
- ❸構造予測ツールとデータベースの併用による利便性:AF3の機能は、新たに構築されたAlphaFold Server上で利用できる。また、Googleと『EMBL-EBI』が共同運用しているAlphaFold Protein Structure Database(PDB、オープンアクセス)に収納されたタンパク質の予測構造は、21年に35万超であったものが現在は2億を超え
- 【AF3の特徴】AlphaFold-Multimer v2.3(AF2.3)と異なる特徴(引用元)
- 補足(本書外)
- Alpha Missense(2023-): 人のゲノムのウィークポイント(ミスセンス変異の病原性)を推定する取り組み。
- AIができること
- 大局観と絞り込み: AlphaGoは、無尽蔵に読むのではなく「この局面で有効な手」を候補化したうえで探索を深めます。人間で言う「大局観」「直感」に近い働きができます。
- 学習の転移: 囲碁で培った知見・技術がチェスや将棋にも応用されました。AIも「学習の転移」ができます。
- 心理的な駆け引き: ディプロマシーというゲームの国際大会では、AIキケロが、言葉による同盟戦略・交渉・制裁を駆使し「心理的駆け引き」で勝ち抜きました。AIは数字の最適化だけでなく、コミュニケーション戦略にも踏み込める段階に来ています。
- “「キケロ(Cicero)」と呼ばれるこのAIは、40回のオンラインゲームで、82人の人間のプレイヤー(彼らはボットと対戦していることに気づかなかった)を相手に上位10%にランクインした。21人が参加したある8回戦のトーナメントでは、キケロが優勝した。”(引用元)
- “キケロは、ゲームの各時点で、ボード上の状態や他のプレイヤーとのこれまでの交渉に基づいて彼らがどのような行動に出そうかをモデル化する。そして、プレイヤー同士が相互利益のためにどのように協力できるかを考え、その目的を達成するためのメッセージを作成する。”(引用元)
- これは、結果として「心理的な駆け引き」になっているのであって、要素としては①ボード上の状態や他のプレイヤーとのこれまでの交渉に基づいて彼らがどのような行動に出そうかを判断すること、すなわちデータ化されている情報から打ち手を検討する、②自然言語でコミュニケーションする、という二つのように思います。
- 嗅覚のモデル化: 物質のにおいを分子構造から予測し、人間平均を上回る性能を示した研究が登場。
- 匂い分子の原子構造と「甘い」「ミント」「ウッディ」などの匂いラベルの関係を学習した、OsmoというAIだそうです。このことがあらわすことは、一見人間らしいものであっても、本質的には、データ化されるものであればAIは学習できる、ということだと思います。
- 人間に求められること
- 使い分け: AIツールの得意不得意を理解し、用途に応じて使い分ける。
- 正誤の判定力: AIの出力の正しさを判断する。
- 『生成AI時代の「超」仕事術大全』(書評)の判断プロセス統合スキルのためには、この判定力が必須です。そして、そのためには、判断のよりどころとして、自分の業務の必要な知識を、自分の脳内で持っておくことが必要だと思います。
- ただ、正誤の判定力が必要なのは、AIに限った話ではないのでは・・・?とも思います。テレビニュースや本、雑誌、ウェブ上の情報なども事実ではないこともあるので、AI以外の情報に対しても注意しましょう。
- 人間らしさの源泉: 人間が自然にできることこそが、人間の本来の強み。例えば「楽しむ」ことこそ人間らしさ。
- これは確かにそうだと思いながら、キャリアとどう結び付けられるのかはわからないです。例えば、自分が自然に「楽しい!」と思うことを仕事にすることがよいのでしょうか。
- 脳—身体の結びつき: 人間の脳は感覚神経の約1,000万本・運動神経の約100万本と深く結びつく。ロボット配線では現実的に代替困難。
- これは、『マイクロソフト「Copilot」の衝撃 生成AI時代のマーケティング』(書評)で触れられていた「身体性」と共通するポイントです。
本書はどんな人にお勧めか
成果物の品質とスピードを両立させたいビジネスパーソン:
根拠抽出・ダブルチェックなど、すぐ仕事に埋め込める運用Tipsが豊富。高い質の成果物を高速で作成するためにAIを使いこなすスキルが身につきます。
AI時代のキャリアを考えるビジネスパーソン:
AIと人間のそれぞれの強みを知り、AIとどのように協業するか、人間がどのような強みを持つかを理解できます。
本書の価値は、AIの機能紹介に止まらず「人間の脳」と「生成AI」の役割分担を具体的な運用術に落とし込んでいる点にあります。品質を上げ、スピードを上げ、「人間にしか出せない価値」を高める。そんなことを望む人には本書『生成AIと脳~この二つのコラボで人生が変わる~』(Amazon)は学びがあると思います。

